第56回全日本書写書道教育研究会全国大会(東京大会)開催
1.大会主題 「書字文化を育む書写書道教育」
2.会期・内容 平成27年8月27日
総会/分科会(小中高大別)/全体会(分科会報告・特別研究委員会報告)
/基調提案/シンポジウム/指導講評
3.会場 東京家政大学
4.校種別テーマ
小学校 書字文化に関心を持ち意欲的に取り組む書写の学習
中学校 書字文化に関心を持ち主体的に取り組む書写の学習
高等学校 書字文化の伝統を理解し表現と鑑賞能力を高める書道教育
大学 書字文化の伝統に貢献する書写書道教育
全日本書写書道教育研究会は結成から56年目を迎えた。昭和34年に結成された本研究会は昭和38年から昭和43年まで上條信山先生を理事長に据え(上條先生は昭和60年に会長職)、学習指導要領の具体的な実践研究組織として書写書道教育・国語教育・芸術教育の充実のための組織的な取り組みを重ね、以来全国の書写書道教育の牽引役として大きな研究成果を収めてきた。
本年度の大会は場所を東京家政大学とし、平成20年告示の現行学習指導要領の完成年度にあたっての実践と検証、そして次の学習指導要領の改訂に向けた書写書道教育のあり方として「手で文字を書くことに関する指導実践の成果の検討と他校種との交流を目指す」場とし、例年実施している公開研究授業を行わず、研究発表とその討議を充実させ、シンポジウムの開催と書写書道教育推進協議会の活動報告、特別研究委員会を設置しての授業研究、小学校低学年における毛筆(水書きや軟筆)などの実践報告となった。
そして今大会の目玉となったシンポジウムは、その主題を「手書き文字の果たしてきた役割とこれから」とし、コーデイネーター茨城大学・斎木久美先生の進行で、山梨大学・宮澤正明先生による基調提案(30分)に続き、上越教育大学・押木秀樹先生(書象会)による主題に関する基礎研究報告(=初等中等教育における教育課程・求められる学力・課題とその解決のための学び・書くことの変化・めざす方向性(学力)の位置付け・文字を書く行為において重視すべき価値とそのバランス等)と、シンポジストのさいたま市立大宮北中学校校長・荻田光山先生(書象会)、江戸川区立大杉第二小学校校長・圡上智子先生により、教育現場での課題や今後の書写書道教育の方向性などについて約1時間の意見交換が行われた。
特に荻田光山先生からは中学校における現状の書写指導の率直な課題や「書くこと」についての基本的な考え、手書き文字の目指す方向性、書字行為の動作性と筆記用具についての考察など、実情と課題について今後の書写教育の方向性を示す報告・提言を行っていただいた。
押木先生や荻田先生の研究実践報告などが展開された今回のシンポジウムでは、今後の書写書道教育におけるより科学的実践の必要性や、指導者としての研鑽の方向性、書字文化についての深い考察力の必要性などがより具体的に発信され、大きな成果を得たンポジウムであった。(荻田先生は午前の中学分科会においても「既習の書写学習を生かした国語授業の実際〜書字文化を支える国語科書写の重要〜」と題しての報告発表を行っていただきましたことを付け加えます。)
大会の様子をお知らせします(クリックすると画像は拡大して見ることができます)